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二、開高健の文学 開高健（1930 ～1989 ）は大阪市 上町に生まれ、昭和二十八年に は大阪市立大学法学部を卒業し た。学生時代に種々の仕事を経 験し、卒業後は洋書店、英語会 話学校を経て寿屋の宣伝課に 入った。廃墟の中で送った彼の 青春については短編連作集『見 た、揺れた、笑われた』所収の 作品にその反映が見られる
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二、開高健の文学 大阪出身ということと、 戦後の廃墟と闇市の中 で青春を過ごしたとい うことはこの作家の示 す一種野太い性格や、 庶民的な生活力に対す る愛好などを考える上 で、逸することのでき ない部分である
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二、開高健の文学 庶民的な生活力、生命力とい うモチーフは、大阪の浮浪者、 貧民群を描いた『日本三文オ ペラ』にも、北海道に入植し た農民を描いた『ロビンソン の末裔』にも、出世作『パ ニック』のネズミの大群の疾 走にも、また多くの社会時評 にもはっきりと現われている
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二、開高健の文学 これらの作品のなかで『日本三 文オペラ』は大阪旧陸軍工場に 巣食う泥棒部落のことを取り 扱っていた。また、『ロビンソ ンの末裔』では敗戦直後の北海 道開拓移民の惨苦をリアルに描 き出した。開高健の文章の文体 における特色の一つとして同種 の形容を無数に繰り返すことが 上げられる。例えば罵倒の言葉 が実に半ページにわたって続く こともある。いわばカリカチュ アリスムなのである
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二、開高健の文学 昭和三十三年、「新日本文学」 に発表した『パニック』は知的 な構成によって多くの文学評論 家の注目を引いた。続いて『巨 人と玩具』と『裸の王様』を書 いた。この『裸の王様』で昭和 三十二年度下半期の芥川賞を受 けた。たまたま、この賞を大江 健三郎と争う格好になったため、 週刊誌までが開高大江と二人の 新人を並べて大きく話題にした のである